大阪公立大学と森之宮の未来 ―1.5期キャンパス整備による新たな成長―
大阪公立大学と森之宮の未来 ―1.5期キャンパス整備による新たな成長―
【プロフィール】
公立大学法人大阪 理事
松井芳和(まつい よしかず)
森之宮エリア、すなわち大阪の「ヒガシ」は、大阪・関西万博の開催地である「ニシ」の夢洲と並んで、今後の大阪の成長を支える東西軸を構成する新たな拠点エリアに位置づけられています。大阪公立大学(以下「本学」)は、昨年9月、この地に森之宮キャンパスを開設しました。約6千人もの学生・教職員が集うメインキャンパスです。ここでは、教育・研究機関としての役割にとどまらず、都市とともに成長し、都市課題の解決に貢献する「未来都市」の中核となることが求められています。
本学は、共に約140年の歴史を有する大阪府立大学と大阪市立大学を母体として、2022年に開学しました。現在、12の学部・学域、16の研究科を有する我が国有数の総合大学です。本学の大きな特徴は、大学本来の役割である教育・研究・社会貢献に加え、多彩な研究分野の知見を結集した「総合知」により、都市課題を解決する「都市シンクタンク機能」、イノベーションを創出する「技術インキュベーション機能」を発揮し、その成果を大阪の経済成長や住民のWell-Beingの向上につなげるところにあります。2023年には、そうした取組みが評価され、国の「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」にも採択されています。
メインキャンパスのある森之宮地区は、「大学とともに成長するイノベーション・フィールド・シティ」をコンセプトとする大阪城東部地区の中心エリアです。キャンパス周辺には、生活の場であるUR団地をはじめ、大阪産業技術研究所、大阪健康安全基盤研究所、森之宮病院などの多彩な研究機関や施設が立地。さらに、JR、京阪、そして2028年春に新駅開業が予定されている大阪メトロ等が集結する交通の要衝でもあります。新駅には、「空飛ぶクルマ」のバーティポートや大規模アリーナの建設も構想されています。まさに、都市そのものが、健康・福祉・移動・配送・観光・環境・防災・教育・都市運営など、様々な分野でのイノベーションを実証・実装できる巨大な「リビング・ラボ」と言えます。
万博を経て、大阪は新たな成長段階へと移行しました。大阪府・大阪市が今年3月に策定した「Beyond EXPO 2025」は、万博で培われた革新技術やグローバル交流をレガシーとして、「世界に伍する経済力・都市力を有し、唯一無二の魅力がある都市」をめざす新たな成長戦略です。本学は、この新たなBeyond EXPO時代において、大阪の成長を支える知の基盤として、大阪府・大阪市と共創しながらその実現に貢献していく責務を担っています。
成長に向けた本学の取組みをさらに加速するのが、今年2月の第20回副首都推進本部会議において公表した、「森之宮キャンパス1.5期開発」の構想です。1.5期開発では、現1期キャンパスの西側、約4,200㎡の敷地に10階建て(想定)の新キャンパスを建設する予定であり、「情報学研究科・情報学部」「スタートアップ・産学連携拠点」「秋入学(学士課程)」「社会人大学院」の4つの機能が誕生します。さらに、この1.5期開発では、情報学の集積やリビング・ラボとしての利点を活かし、森之宮地区でAI×Well-Beingのプロジェクトを展開する構想を検討しています。自動運転、自動配送、ヘルスケアAI、リハビリ・介護支援ロボット、行政AIエージェントなど、AIによる新技術が様々な生活シーンの中で実証・実装される、まさに「未来の都市」です。
また、京阪神の他の有力大学に先駆けて2029年秋に開設する秋入学では、国内外から優秀な人材を集め、グローバルに活躍できる人材を育成し、国際都市大阪の活力の向上に貢献します。入学定員は50名。留学生25名・日本人学生25名が全授業を英語で学ぶ国際共修のコースで、全学部・学域の知を結集した学際科目により、学生の創造性を最大限に伸ばします。
大阪はいま、成功裏に終わった万博を経て、更なる高みである「副首都」をめざしています。そのためには、万博で高まった「チャレンジ力」「求心力」「プレゼンス」「グローバル力」をレガシーとして継承し、日本を代表する副首都として「中枢性・拠点性」「東京とは異なる個性・価値観」をさらに向上させていくことが必要です。本学は、産学官民の共創のもと、対話と挑戦を重ねながら、「副首都を牽引し、支える知の拠点」として重要な役割を果たしてまいります。そして、大学自らも、大阪から世界へ、グローバルに飛躍する「世界水準の研究大学」を目指していきたいと考えています。今後ともご支援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。