大阪城東部地区のまちづくりにおける「ほとりで」の取り組み
大阪城東部地区のまちづくりにおける「ほとりで」の取り組み
【プロフィール】
UR 都市機構 西日本支社 都市再生業務部 事業推進課
田村 侑介(たむら ゆうすけ)
福岡県生まれ。2026 年 UR 都市機構に入社、西日本支社で都市再生業務を担当
1. UR 都市機構と大阪城東部地区のまちづくりの関わり
UR は、大阪城東部地区において、昭和 42 年から森之宮団地を、昭和 51 年から森之宮第二団地を管理開始しています。また、大阪城東部地区まちづくり検討会に委員として参加し、大阪府・大阪市が策定した「大阪城東部地区のまちづくりの方向性」に掲げられたまちづくりコンセプト「大学とともに成長するイノベーション・フィールド・シティ」の実現に向けて、関係者とともにまちづくりを進めています。
令和7年9月には、大阪公立大学森之宮キャンパスが開設され、多くの学生が行き交うようになりました。今後予定されている Osaka Metro の新駅開設や周辺開発など、まちが大きく変わろうとしています。
2.UR 森之宮ビル「ほとりで」の取り組み
2.1.「ほとりで」のねらい
UR では、当地区でのイノベーションとは、生活者の「暮らしのイノベーション」ではないかと考えました。生活者と地域資源や地域課題をかけ合わせることで、まちとの関わりが生まれ、一人ひとりの生活者が“自身の周りの環境を変えられる”という実感を持つことができ、暮らしの豊かさにつながるのではないかという仮説を持っています。その実践の場として、令和7年 10 月、UR と大阪公立大学が連携し、UR 森之宮ビル(UR 旧西日本支社)に、暮らしと学びの実験フィールド「ほとりで」をオープンしました。
2.2.「ほとりで」とは
図 1「ほとりで」のロゴマーク
「ほとりで」は、暮らしと学びに関する多様な活動ができる実験フィールドとして、まちに関わる人々の“やりたい”という想いを受け入れ、コミュニケーターのサポートにより“やってみた”へと育もうとしています。
「ほとりで」の周辺は、かつて上町台地の東端で河内湾に接する陸と海の「ほとり(水際)」として豊かな生態系を育んでいる場所でした。また、「ほとる」という動詞は「熱を帯びる」という意味があり、この場所で芽吹いた挑戦心とリンクします。「ほとりで」のネーミングには、このような2つの意味が込められています。
2.3.「ほとりで」の日常
オープンから 9 か月が経過し、会員登録数は約 1,600 名となりました。地域の方がお茶を飲みながら談笑されたり、学生がクラブ活動をされたり、ワーカーがコワーキングされるなどさまざまな形で利用されています。大阪公立大学の学生による来館受付や、地域の方がアクセサリー等の無人販売を行う「ほとりで BOX」、清掃などをサポートいただく「ほとりでサポーター」も開始しています。
図 2「ほとりで」の内装
2.4.「ほとりで」での UR と大阪公立大学の連携
大阪公立大学 Well-being 共創研究センターとの連携では、健康促進プログラムとして、フレイル予防の健康体操等の活動を行っています。また、Nature-based Solutions(自然に基づく解決策)を推進する「森之宮ウィズネイチャーラボ」を構築し、持続可能な都市づくりのための研究活動を実施しています。大阪公立大学ボランティア・市民活動センターとの連携では、学生や地域住民らによるボランティアイベント等の活動場所の提供等を行っています。
2.5.「ほとりで」での暮らしのイノベーション
まちに関わる人々が、“やりたい”ことを“やってみた”活動も数多く行われています。
不要な服を持ち寄り小物のリメイクを行う「リメイク・クラブ」、地域のママさんによる子連れで楽しめるスナック「ままのわ」など、多様なプレイヤーによって継続的なイベントが行われています。簡易的なキッチンも設置されており、地域の方による会員向けのお弁当販売やカフェ、モーニングも行われています。これらの活動が、「ほとりで」での暮らしのイノベーションにつながりつつあります。
2.6. アートを触媒とした暮らしのイノベーション
図 3「空間美術館 -大阪-」展示作品作りの様子
「ほとりで」の地下の空間を活用し、令和8年8月「空間美術館 -大阪-」をオープンします。世界で活躍するアーティスト・千田泰広氏の指導のもと、地域の方や学生が身近な素材と膨大な手作業で完成させた作品を中心とする空間美術作品を展示し、光や音を交えて体性感覚に働きかける空間体験を提供します。アートを通じた多世代、多様な人々の交流、地域の文化価値の向上を目指す、新しいかたちの美術館です。みなさまのご来館をお待ちしております。